100km走るということ

「生きる」 谷川俊太郎



生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと

生きているということ
いま生きてるということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ


わたしにとっての生きるということ
いま生きているということ
100㎞走るということ




今回はこの「100㎞走るということ」について。



気付けば1度もブログを更新しないまま過ぎていった8月。人生ではじめて自分の店として出店したり、いろんな人と出会っていろんな輪の中に招き入れてもらえている喜びを感じたり、けっこう濃い1ヶ月だったんだけど。

それは、言葉にはなってなくても自分の中に確実にいて、気持ちのよい変化を与えてくれているので、それはそれでとてもいい。



ことの始まりは8月22日。
2つ年下の女の子があわいに遊びに来た。去年同じ小学校に勤めていて同じ学年を担任していたのでいわゆる後輩みたいな感じ。私を成長させてくれた人だと勝手に思っている。前に手紙をくれた以来、なかなか返事ができていなかったけど久しぶりに連絡をしてみると遊びにきたいと言ってくれて、二日後に本当に来た。(本当に来てくれる人はなかなかいないからうれしいことだ~) お互い近況報告をしているとふいに、「最近3㎞を14分で走ることに挑戦しているんですよ~」といい始めた。先生をしながら、しかも1ヶ月かけて徐々に自分を越えている。うお~すごい~!と彼女からパワーをもらって私も走ることに決めた。目標は1ヶ月で100㎞。もう、やるしかない。



その日からほとんど毎日4㎞走っている(実は歩いていることもしばしばだけど)。今日で23日72㎞。毎日走っているといろんな発見がある。自分自身と対話して、自然と対話して、一体になっている感じ。朝の空気が少しずつ秋の空気に変わっていっていることに気付いたり、自分の体が重いときもあればすごく軽いときがあったり、へびや鳥が死んでいたり、風に包まれている感触や音がしたり、自分の中の自分と話して弱さに気付いたり言い聞かせたりする。あ~これって生きているということだな~。私って生きているんだな。


いろいろ思うところはある。やりたくないことをやってしんどくなることもあるし、人に優しくできなくて自分をせめることもあるし、飲み過ぎて記憶をなくすこともあるし、肌はあれるし、これだと思うことは見つからないし、思い通りにいかないことはたくさんあるけど、でも生きている。たしか人の細胞は1ヶ月で全部入れ替わるらしい。明日の自分は今日の自分じゃない。だから絶対大丈夫。

残り28㎞。走りきった自分に出会うのが楽しみだ~